「ガンプラ少年MIYAZAWA」 (作・harryの息子・ヨースケ)
…「決勝戦は【デンドロビウム】の早組み立てバトルだ!!」
司会者の声に会場はどっと沸き立った。「では、決勝まで、見事勝ち残った二人に登場してもらいましょう!!」
スクリーンには対戦相手のセキヤ・ダームガンの名前と顔が映し出された。ゲートが開き、セキヤが出てきた。勝利を確信したかのような目つきだ。セキヤがフィールドに下り、指定された席(シート)に着くと、今度はオレの名前と顔が映し出される。
オレの名はミヤザワ・プーラガン。身長は小さめ、というか小さい。結構劣等感。そんなオレのたった一つだけ得意な「ガンプラ作り」の大会が、ここで開かれてると聞いて、ついフラフラと来てしまった。遊びのつもりでエントリーしたのだが、気付けば決勝だった。目の前のゲートが開いた。オレは闘いの場へ下りていった。
待っていたのはドームいっぱいの歓声だった。そういえば世界大会なんだ、この大会って。オレがシートに着くと、司会者が話し始めた。
「現王者のセキヤくん、今回はどうかな?」「余裕ですね。昔から一度もアイツには負けたことがないんで…」「昔から?どういうこと?」
観客がざわめく。「あ、セキヤはオレのちっちゃいころからの友だちで…」オレは思わず言ってしまった。
「そうなの?セキヤくん」「ええ、間違いありません」「では親友対決になるんだね。みなさん、これは見物です!!」どっと沸く観客席。「では、開始しましょう。ルールは簡単。先に組み立てた方がwinner!いいですね。それではスタート!!」
司会者の合図と同時に、セキヤとオレはガンプラを組み立て始めた。まずはパーツを台からはずしてヤスリをかける。と、その時、3メートル離れた隣のシートから、ものすごい数の「バリ」が飛んできた。
「出ました!!セキヤ君の必殺技、高速パーツはずし!!」見ると、セキヤはもうパーツをすべてはずし終わっている状態だった。そう、セキヤは、先にパーツを分解し、その後一気に組み立てるタイプなのだ。一方オレは、はずしては組み立てるの繰り返し派だ。
(スピード的にはあっちの方が速いが、この勝負は早組みだけではない。カラーリングもしなければならないんだ。オレはカラーリングのスピードなら人一倍速い。だから焦ることはない。)
一方、セキヤも同じようなことを考えていた。【今は俺の方が優位だが、やつはカラーリングが速い。前半でどれくらい差を広げられるかだな。】
セキヤは形を完成させた。司会が観客に伝える。「おっと、セキヤ君、今 本体を終えました!」観客席が騒ぐ。この音がオレの集中力を途切れさせる。(落ち着け)
残すは頭部だけとなったとき、ガギッといやな音がした。見ると、ニッパーが折れていた。(くそ…、これでは組み立てらんない、もう少しだっていうのに。)
「あっと、アクシデント!ミヤザワ君のニッパーが折れた!!」会場は大きくどよめいた。
(あ~、どうしよう。何か切るもの……、あ、カッターがあるじゃん!)オレはカッターを手に取ると、それで頭部の組み立てを再開した。
「なんとミヤザワ君。カッターで組み立てていますよ。大丈夫?ミヤザワくん?」
(あと、1パーツだ。よし、できた!)苦労の末、オレはガンプラを完成させた。「さぁ、ミヤザワ君、今からカラーリングに突入です。」
そのころ、セキヤはというと、カラーリングを半分終えたところだった。
「なんというスピード!速すぎるッ!!」司会者の悲鳴に近い叫びに、セキヤはオレ方に視線を移した。セキヤの目が見開いた。「・・・こ、こんなことが…」
つづく。
☆息子がブログにのっけていいよ、と許可をくれたのでのせてみました。「てにをは」のおかしいところなど、ちょびっと書き換えてますけど、ま、ほぼ原型に近いです。ま、ポケモンとかの実況中継に酷似してますな。13歳なので大目にみてやってくだせ~まし。
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