「裁判」の絵本
もうすぐ日本でも、市民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が始まるそうですね。裁判をモチーフにした絵本を2冊紹介します。
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「どうぶつさいばん ライオンのしごと」(武田津実・作/あべ弘士・絵/偕成社)
舞台はタンザニアの草原。大きな岩を囲んで動物たちが集まっています。
「あのライオンがお母さんを殺したんです。」
ヌーの子供による涙ながらの訴えから裁判は始まりました。
被告人ライオンの弁護士オオミミギツネが立ち上がります。「ライオンは動きのおかしい動物しか狙わないのです。あの日、殺されたヌーに不審な動きはなかったのでしょうか?」
検察、弁護側の証人喚問も行われ、やがて判決の時が。
「ライオンは無罪。しかし…」
いろいろな動物たちの言い分から動物の生態系について学び、考えることができます。
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作者の武田津さんは獣医さんで映画「こぎつねヘレン」原作者でもあります。
裁判の様子はかなりリアルでハラハラしますよ。
絵は「あらしのよるに」のあべ弘士さん。一筆でぐぐっと書いた動物の輪郭はとても迫力があります。(でも正確、このうえなし)
あなたが裁判長ならライオンに対しどういう判決を下しますか?(高学年向き)
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「どんぐりと山猫」(宮沢賢治・作/佐藤国男・版画/福武書店)
宮沢賢治の繊細で風景描写の豊かな世界と、骨太で荒々しい雰囲気の版画が意外なマッチングをみせた1冊。
版画を本職としているわけではなく、好きだから作っているという佐藤氏。本職はなんと大工さんです。
所々に彩色された青色が美しく印象に残ります。
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一郎のもとへおかしな葉書が届きました。
「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。山ねこ拝」
出かけていった一郎の前に現れたのは立派なひげの山猫とたくさんのどんぐりたち。どんぐりたちは誰がえらいのか、もう3日も裁判をしているというのです。
「あたまのとがっているのがいちばんえらい。」
「いや、丸いのがえらいのです。」
「大きいのがいいんだ。」
山猫は困り果て一郎を呼んだのでした。
一郎の一言で裁判はたった1分半で終結。
どんぐりたちを一瞬で黙らせた言葉って…???
気になる人はどうぞ読んでみてくださいね。
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