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「やくそく」(忙しい大人へ)

「やくそく」 (成田雅子・講談社)

成田雅子さんといえば「サナちゃんシリーズ」の方がメジャーかもしれませんね。

子供らしい夢いっぱいのサナちゃんですが、同じ作者とは思えないくらいテイストの異なった作品もあります。

「いちょうやしきの三郎猫」「もうひとりのアドロ」、そして「やくそく」。

この3作、とても”痛い気持ち”にさせられる絵本です。大人向けです。

             ***

今回は「やくそく」について。

ぼくとの約束、忘れないで…。猫のよもは、ゆうじさんとの釣りをたのしみにしていました。ところが、忙しいゆうじさんは戻ってきません。やがてピアノが消え、ベッドが消え、ついには…。(Amazonのレビューより)

             *****

ゆうじさんと仲良く暮らしていた猫の”よも”。ゆうじさんが新しい仕事についた時からなんだか家の中がヘンになりました。最初に消えたのは、コート。いちいちコートなんて着ていられないってゆうじさんは言ってた。次に消えたのはピアノ。弾くヒマなんてないよってゆうじさんが…。忙しくて家で食事をすることがなくなるとテーブルが消え、寝るヒマさえなくなるとベッドが消え…。

ゆうじさんの忙しさと比例して、物がだんだん無くなっていきます。ついには家さえも。

             ***

気が付くと、”よも”は砂漠のような場所にたっていました。「ボクもそのうち消えてしまうのかもしれない」

胸がぎゅーっとなる”よも”。

             ***

みなさんはもうおわかりでしょうね。家具などが実際に消えるわけではありません。心の中から追い出されてしまうと言うことです。

「忙しい」という漢字は、”心を亡くす”と書きます。目の前の仕事ばかりに気を取られ、ある日まわりを見回すと…あなたの大切なものはみんないなくなっていた。

             ***

お話の中では、ゆうじさんは”よも”との約束を思い出し、釣りに行きました。時間の経過がゆうじさんの心を癒していき、あたりはどんどん元通りの風景に戻っていきます。

       ~*~*~*~*~*~*~

仕事に追われ、「忙しいんだよ」が口癖のあなた。大切な人が寂しがってないかどうか確かめてごらん。

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コメント

うーむ、「よも」が奥さんと考えると、意味深であります。松谷みよ子の「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズにも、パパがくつしか帰ってこないという逆バージョンがあって、子供心には「??????」でしたが強烈に印象に残ってます。

投稿: どんぶらこっこ | 2006年10月24日 (火) 07:52

どんちゃん、おいでやす(^_^)v
”よも”が奥さんかぁ。なるほど。
絵がかわいいネコなので、あまり感じなかったです。(本当の奥さんならもっとズケズケとものを言うようなイメージが…!!)新婚の家庭とすれば納得。
「いちょうやしきの三郎猫」も似たような感じです。こっちの方がモロ恋愛っぽい。
私も子どもの頃「モモちゃん…」の離婚のところは「????」でしたがやはり強烈な印象が残っています。同じだね、どんちゃん(^_^)v

投稿: harry | 2006年10月24日 (火) 09:06

harryさん、グサッときましたですぅ。
忙しいオトナだった、わかなです。
おじゃまします♪
行事に追われ、役に追われ、仕事と家事に追われ・・・その上、家族全員が不調のこの頃。
次男はまだ1歳なので、どうしたって肌を触れ合わせ、気持ちを汲み、守っていくのですが、こういう時に割をくうのは長男です。
彼の気持ちを汲むどころか、お手伝いをさせ、失敗を叱り・・。
まだ、小学一年生なのにね。
ご紹介、ありがとうございました!
忘れちゃいけませんね、この気持ち。

あ、『ディディ』をやっと読むことができました♪楽しめました。
長男、バレエを知っているかどうかは?ですが、気に入っていました。
大感謝です♪

投稿: わかな | 2006年10月29日 (日) 18:26

わかなさん、こんばんは(^_^)v
そうですか。長男君はきっとけなげに頑張ってるんだよね。でもまだ生まれてから7年くらいしか経ってないんだもんね。わかなさんはエライよ。ちゃんと長男君を振り返っているもの。みんな同じ思いで子供を育ててますよ。(私もさ!)
「やくそく」は、大声で泣く「よも」の表情がとても切ないです。私も最近「よも」と同じ気分だったもんで、この本を引っ張り出してきたわけです。

ディディ!カワイイでしょ~♪猫の団長が「こんなに上手い踊り手はきっと筋肉質で堅いから旨くないにちがいない」と思いこもうとしてるところが、にやっと笑えますよね。

投稿: harry | 2006年10月30日 (月) 22:59

図書館で見つけて借りてきました。
いろんなふうに読めるのかもしれませんね。
ゆうじさんが帰ってきてよもと釣りをする場面、時間がゆっくり流れ、風景がだんだん豊かに変わっていくラストがいいですね。
「モモちゃん」シリーズは、娘に読みながら最後まで行ったのですが、私も最後の方はつらかってです。後日、その頃のことであろうことを書いた「捨てていく話」を読んで、ああそうだったんだと思ったことがあります。

投稿: あそびっこ | 2006年11月16日 (木) 17:44

あそびっこさんへ:
読んでくださいましたか。<(_ _)>
***
モモちゃんについてですが、
「パパはジョニーっていうんだ」
「よるのおさんぽ」
この2冊は、大人より子供の方が”前を向いて歩いていく力”があると感じさせる本だと思いました。
「パパのカノジョは」もそうですけど、
結構あるもんですね。こういう状況の本って。

投稿: harry | 2006年11月17日 (金) 12:30

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