私の住んでいるT市は、作家の田山花袋の出生地です。
先週、「田山花袋記念館」主催の作文教室に参加してきました。
***田山花袋記念文学館かきたいもん講座
「はじめての1枚エッセイ」
~地元を魅力的に伝える技術~
講師は、ジャーナリストの橋本淳司氏
橋本さんは、元編集者で、森瑤子さん・北方謙三さん・村上春樹さんなどを担当されていたそうです。(チョット見、綾小路きみまろを若くした感じでした)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原稿用紙1枚分、朗読にすると約1分だそうですが、「初対面の人にでもわかるように、自分の感じていること、考えていることを伝える」ことの出来るように書かねばなりません。
テレビCMの例をあげて、とてもわかりやすく講義をしていただきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この企画にはすばらしいオマケがついているんですよ。
書いた原稿を、な、なんとプロのナレーター(小沼朝生さん)が朗読してくださるんです。
耳で聞くと、自分の文章のつながりの良いところ、悪いところがよくみえてきますからね。
11/25にアドバイスと朗読があります。とても楽しみです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参加者は20名ほどでした。自己紹介タイムがありましたが、みんな語る語る…。
相当レベルが高そうです。年配の方が大半でした。
ドキドキです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私もがんばって書き上げましたよ。
どのように添削されてくるかなぁ。
どこを直せばもっとマシになるか、みなさんも添削してください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
麦落雁の思い出
「三桝屋」の店先を通るたび、必ず思い出すことがある。
25,6才の頃のことだ。当時おつきあいしていた人を、初めて両親に引き合わせた日、彼が手土産に持ってきたのが、三桝屋の麦落雁だった。
自分の生まれ育った町をアピールするにふさわしい手みやげは…と、彼はずいぶん考えたらしい。なにせ、一人娘の家へ挨拶に行くのだから。
簡単な自己紹介の後、平たい箱が父の前に置かれた。T市は麦の産地で、というような説明を、彼が一生懸命にしていた記憶がある。私はしまったと思った。父は和菓子よりも洋菓子が好きなのだ。前もってそのことを伝えておくべきだったとひどく後悔した。
彼の帰った後で、母が包みを開けた。父はずらりと並んだ落雁を珍しそうに眺め、一つをつまんでポイと口に入れた。私は父の口からどんな言葉が出てくるのか息をつめて待った。なぜなら、その味の評価が、彼の評価そのもののような気がしたからだ。
「ほぅ。これはおいしい。風味がいいね。」
ほっとして腰がぬけそうになった。あの時の安堵感は、きっと生涯忘れないだろう。
昨日、久しぶりに麦落雁を食べた。鼻にぬける香ばしい麦の匂いに、なぜだかとても安らいだ気持ちになった。 ”私もここの人間になったねぇ”と主人に言うと、主人はへぇ?とけげんな顔をした。
T市に来て10年。小さな六角形の砂糖菓子は、私のふるさとの味になりつつある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうでっしゃろ?!
最近のコメント