保護者からの苦情
「こんな本、図書室においていいの?」
「うちの子がマネをしたらどうするの?」
「こんな本、借りて来ちゃダメ」
1年生の保護者からの苦情です。
「こんな本」ってどんな本か、気になるでしょ~。
これです ↓
『14歳 焼身自殺日記』 (ブレント・ラニアン:著/小学館)
なるほど、衝撃的なタイトルですよねぇ。
表紙のイラストも、なんだか「悪に誘う」ような感じに描かれています。
自分の娘がこんなものを読みふけっていたら…
OH!MY GOD!!!!!!
…この気持ち、
まあ…わからなくはないです。
それは、1週間くらい前のこと。
私の元へ、渦中の生徒の「姉」から、メールが来ました。(姉は去年の卒業生で、私と仲良しでした)
~ウチの妹が、学校で「ヘンな本」を借りて来ちゃったの。親が激怒してんの。ねぇ、ハリー。ウチの妹が「こ~ゆ~本」を借りそうになったら、止めてくれない?~
…ビックリでした。
実は、この本は、とても良質なノンフィクションYAなんですよ。
全身火傷から立ち直った14歳の感動手記
1991年、アメリカの14歳の少年が、学校のトラブルにおいつめられて自宅のバスルームで焼身自殺を図った。その本人による入院治療日記。全身85%の火傷を負った彼が、1年後普通高校へ通えるほどの奇跡的な快復をするまでの、手術、体力トレーニング、家族のケアなどを経て生きる気力を取り戻していく過程が正直に描かれる。(Amazonからの抜粋)
主人公の独白の形をとっており、とても読みやすいです。皮膚移植についても、専門家の監修のもと書かれています。
中身を読んでから、判断してほしかったなぁ…
私は、「姉」へメールを打って、一生懸命説明し、納得してもらいました。
数日後、渦中の「妹」がやってきて、
「すみませんでした。お騒がせしちゃって!」と、半笑い。
こういうトラブルに初めて遭遇しました。
みなさんはいかが?
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コメント
私は最近の(昔もそうなのかどうかは?)売らんかな方式の本の作り方に問題があるよ!と思っているんです。
中味に関わらず過激な表紙絵や漫画チックなさし絵とか。
豪華な本を作って値段ばかり上げるんではなくて、良心的な本作りをして欲しい!
となぜか怒ってしまったコメントになってしまいました。すみません。
その後反省です。自分も漫画ぽい表紙だけで中味を読まずに排除しているかもしれません。
読んでみなくちゃね、それから判断すること、肝に銘じます。
投稿: margaret | 2009年3月 3日 (火) 08:20
margaretさんへ:
私もmargaretさんの意見と同じです。
「ジャケ買い」というヤツですね。
太宰治の「人間失格」の表紙を、DEATH NOTE調にしたら、メチャ売れた!…これが始まり???
私も、このバージョンを見て、「おお!これなら生徒が手に取ること間違いナシだぁ~~~」と浮かれて、なんと3冊も購入してしまいました。
そりゃ、生徒の反応はとても良かったです。バンバン貸し出されました。
…しかし、
次の日には戻ってくるんですよ、半数は。
「中身、ビミョーだし」
「DEATH NOTEとなんも関係ないじゃん」
「難しくて読めない」
うむむむむ…。
でも、まあ、一生手に取らないよりはマシかなぁ…と考えるしかないか。これが現実。
今回の騒動も、ジャケットがもっとおとなしければ、そしてタイトルが「自殺からの生還」とかならば、きっと保護者のかたも、スルーだったのでは。
投稿: harry | 2009年3月 3日 (火) 11:45
haryyさん、おはようございます。実は今朝は、『紺碧の艦隊』の効能をお伝えしようと思い、るん♪と ちょっと弾んでアクセスしたのでした。
とりあえず、まず、今回のYAを借りてみようと思います。
私も「ジャケ買い」も手に取らないよりは100倍ましだと思っていましたが、実情は、なかなか厳しいんですね。
私は、たとえば、「トムソーヤの冒険」なんかは、装丁だけ現代風にアレンジしてYA予備軍たちが読んだら面白いのではないかなと思います。(← ちょっと話が飛躍してすみません。)
さておき、harryさん、ちゃんと筋を通すところがすごい!!司書生命をかけてると思う。
投稿: クリクター | 2009年3月 5日 (木) 09:39
クリクターさん:
おはようさんです (^^)/
『紺碧の艦隊』が何か…?
気になるぅ~~~~?????
>私は、たとえば、「トムソーヤの冒険」なんかは、装丁だけ現代風にアレンジしてYA予備軍たちが読んだら面白いのではないかな
うんうん。おもしろいと思います。
「装丁」の仕事について、ずっと前に新聞で読んだことがあります。プロ中のプロ集団みたいですね。
…でも、スベるものも多いよねぇ。なんでだろう。流行って移ろいやすいから、あんまり冒険は出来ないんだろうけど…。
それから、「帯」のキャッチコピーね。
う~ん、こういう仕事に就いたら、私きっとストレスではげちゃうかも。
投稿: harry | 2009年3月 5日 (木) 10:50
『紺碧の艦隊』のことですが、仮想戦記ではありますが、真珠湾攻撃、開戦、大東亜共栄圏などなどの現代史は、教科書だけでは自分に落ちないワケです。でも、アノ頃の日本の思考回路を知っておくことはとっても大事なことだと思うんですね。史実とは違うこともあるかも知れませんが、親子で勉強になりました。
投稿: クリクター | 2009年3月 5日 (木) 21:39
クリクターさんへ:
親子で歴史!いいですねぇ。
本を仲立ちに、ますますよい親子関係が!
私、「紺碧~」はちょっと手が出ない。
だって、2段組みなんだもん…。
あ、「中坊のリアル本」で「紺碧~」のレビューを書いたパナソニック君は、2巡目を読み終え、現在は「五輪書」にチャレンジしています。
どんだけ戦い好き?
投稿: harry | 2009年3月 5日 (木) 23:24
昨夏買い換えた携帯をあれこれいじってたら、『紺碧の艦隊』の出だしが携帯小説のサンプルとして入ってました。こんなことがなくっちゃ読まなかったかも。結構面白く読んだところで終了でしたが、うん、なかなかでした。続きが気になる展開でした。お勧め図書に入ったのも頷けます。
投稿: あそびっこ | 2009年3月 7日 (土) 22:00
あそびっこさんへ:
コメント遅くなってごめんなさ~~~い
「紺碧の艦隊」の書評を書いたパナソニック君に、「九州の人も、キミのレビューを見て、関心持ってくれたよ」と言うと、「マジッすか!!」と顔面を紅潮させていました。
彼にとっては、かなり心に残る「中学読書生活」になったかもしれません。
金曜日、彼は立派に卒業してきましたよ。
投稿: harry | 2009年3月15日 (日) 20:42
読みました。『14歳。焼身自殺日記』
難しいです。
この本、原書(←この表現が正しいのかどうか?)のタイトル「THE BURN JOURNALS」もカナリの直球勝負って感じですよね。
もし、harryさんの紹介がなくて、私の家にあったらやっぱり、まず、ぎょっとして、そのまま一気に読みますね。2時間くらいで読めますよね。その結果、本から感じたことを、子どもといろいろ話すだろうと思います。
親にとっても、すごく問題提議してくれる。
それにしても、アメリカ医療のチーム力に脱帽です。皮膚移植の技術もさることながら、本人と家族に対して、すぐにメンタルケアが施されていますよね。
harryさん、でも、やっぱりタイトルに驚かされますね。
でも、著者が心底言いたいことのひとつ
I only killd myseif,
that's one good thing.
しっかり、受け取ることができました。
投稿: クリクター | 2009年4月12日 (日) 14:18
クリクターさんへ:
保護者が全部クリクターさんみたいにちゃんと理解してくれたらいいのになぁ…。
タイトルは、まぁよし!としても、表紙の絵と色遣いがなんだかなぁ…と思います。
インパクトを思いっきり強くして、とりあえずは手にとってもらおうという出版社の魂胆みえみえですね。
今日の昼休み、早速1年生が借りていきました。
おお神よ、その子んちの保護者が、クリクターさんみたいでありますように。
投稿: harry | 2009年4月15日 (水) 22:04