ブックトーク講習会(報告)
11/30に市立図書館主催の 「初心者のためのブックトーク講習会」 があり、講師として行ってきました。
参加者は、約30名 (学校司書さん・読み聞かせ活動者・一般・公立図書館関係者など)
2時間の長丁場でしたが、みなさん、とても熱心に聞いてくださり、私も楽しくお話しすることができました。
その時の概要はこんな感じ。
*まずは、ブックトークとは実際にどんなものか知ってもらうために、実演から入りました。
1.「小1年生向けブックトーク(実演)」
テーマ 『来年はセンター!!』
来年の干支である“へび”をテーマに据えたブックトークです。
AKB48のように、主役=センター としてみました。
(“ヘビー(蛇)・ローテーション”…というダジャレも言っちゃったよ・笑)
<紹介した本>
絵本 「はなすもんか!」(宮西達也/鈴木出版)
科学 「ヘビのひみつ」(内山りゅう/ポプラ社)
行事 「十二支のはじまり」(岩崎京子・二俣英五郎/教育画劇)
神話 「やまたのおろち」 (舟崎克彦・赤羽末吉/あかね書房)
童話 「へびとおしっこ」 (椋鳩十/理論社)
2.講義
*ブックトークとは
*ブックトークの目的
*ブックトークの手順
*留意点 (詳細は下↓にあります)
3.「学校での読み聞かせタイム」でもできるブックトークの実演
続きのある絵本を読み聞かせることによって、
児童に“自分で読みたい”と思わせよう…ということで、
読み聞かせ後のミニ・ブックトークを実演しました。
(読み聞かせ)「島ひきおに」(偕成社)
(ブックトーク) 「島ひきおにとケンムン」(偕成社)
4.実習:
ブックトークは、なるべく多方面からの本を紹介するのがポイントなので、発想の柔軟さは選書する際にとても大切なんです。
そこで、参加者の方に「連想ゲーム」をやっていただきました。
①テーマから連想する言葉・事柄を考える連想ゲーム
☆「卒業」という言葉から思い浮かぶ言葉・事柄を30個書きましょう。
②1冊の本から連想する言葉・事柄を考える連想ゲーム
☆昔話『ももたろう』から連想する言葉・事柄を20個書きましょう。
*参加者の方に発表してもらいましたが、いろいろな言葉が飛び出してきて、とても楽しかったです。
たとえば、「卒業」から連想する言葉で、お年を召したステキな女性が 「ダスティン・ホフマン」と言ってくださって、場がフワッと良い雰囲気になりました。
「第二ボタン」というのもあったなぁ…
また、『ももたろう』から連想する言葉で、「トマト!」「侍!」な~んてのも出てきたよ。
5.ブックトークの留意点
*紹介する本の冊数はあまり多くしない
*紹介する方法は多方面から行う
*子どもとのやりとりを大切に
*ブックトーク終了後は、本を貸し出せるように
*記録を作ること
6.「中学・高校生向けブックトーク」(実演)
テーマ 「かけがえのない仲間とともに~渡り鳥~」
<紹介した本>
絵本 『あーちゃん、海をわたる』(さくまけんじ/本の森)
科学 『鳥たちの旅 渡り鳥の衛星追跡』(樋口広芳/NHK出版)
絵本 『風切る翼』 (木村裕一/講談社)
小説 『スノーグース』(ポールギャリコ・矢川澄子/新潮社)
絵本 『スノーグース』(ポールギャリコ・片岡しのぶ/あすなろ書房)
*『スノーグース』は、訳者ちがいで2冊紹介しました。
傷ついた雁が引き合わせた孤独な画家と少女。哀しくも美しい愛の物語です。新潮社文庫から出版されている「矢川澄子訳」と、あすなろ書房による「片岡しのぶ訳」の2つを読み比べると、訳者によって、作品の雰囲気がこれほどまでに大きく変わってしまうのかと、驚きます。矢川訳は「です、ます調」の格調高く静謐な日本語で書かれ、登場人物は、やや野卑で純朴な感じ。一方、片岡訳は「だ、である調」の今風で、登場人物はなんとなくおしゃれで都会的なにおいがします。
一部分を読み比べて、その雰囲気の違いを参加者に伝えました。
7.「大人のみなさんへブックトーク」(実演)
テーマ 「ホンモノ?ニセモノ?」
<紹介した本>
絵本 『ぼく、ムシになっちゃった』(小峰書店)
*カフカの「変身」にヒントを得て作ったそうな。本歌取りのところを見つけるのも楽しい。ムシになった男の子の結末やいかに!
絵本 『3びきのかわいいオオカミ』(冨山房)
*「3匹のこぶた」の完全なるパロディ。こぶたとオオカミが逆転!極悪面のこぶたは、これでもか!というくらいの攻撃力をもって、オオカミを襲う。果たしてオオカミは生き残れるか。
実用 『ついていったら、だまされる』(理論社)
*声をかけられたら必ずついて行き、相手のいうままに契約をして、そのレポートを書くことを生業にしている著者。支払う費用はすべて自腹だって!リアルすぎる詐欺の実態から現代社会の闇をみつめよう。
美術 『キャット・アート』(求龍堂)
*古今東西の名画がすべて“ネコ”で描かれているという画集。解説も大まじめ。今年大ブームとなった 『真珠の耳飾りの少女』は、ヨハネス・フェルネーコ作「真珠のイヤリングをした少女ネコ」と大変身。あなたのお気に入りの絵はあるかな?
ミステリー 『月と虎』(理論社)
*中島敦の「山月記」を下敷きにしたYA。“虎になった李徴”の息子が、なぜ父親が虎になったのか真相をさぐるための旅に出る。そして真実があきらかに!RPBっぽい作りなので、どきどきしながら読み進めます。
小説 『5番目のサリー』(早川書房)
*サリー、デリー、ノラ、ベラ、ジンクス。この本に登場する主人公です。5人?いいえ、実は1人。あとの4人はサリーの中にいる人格、つまり彼女は多重人格なんです。ハンサムな精神科医とともに人格を融合していくサリー。しかし、凶悪な性格のジンクスは、融合に最後まで抵抗し…。多重人格の治療法がとても興味深い1冊です。
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終了後に、参加者の方々に感想をかいてもらいましたが、
その中ですごくうれしかったものがありました。
手前味噌ですが、紹介させてください。
「講師の話し方、表情で、本がとても楽しい物に変身しているような気がしました」
これ以上の讃辞はありません。この講習をするにあたり、かなり時間をかけて準備したので、その苦労が報われた気がしました。うれしかったなぁ。
気になったテーマ・本はありましたか?
リクエストがあれば、トークのシナリオを紹介いたしますね。
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